リチウムイオン電池の限界と、熱暴走がしにくい全個体電池とは

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東京・大田区のアパートでモバイルバッテリーが燃える火事 火元の住人女性が軽傷 約1時間半後に消火

2/28(土) 12:18配信 FNNプライムオンライン(フジテレビ系)

東京・大田区のアパートで28日朝、モバイルバッテリーから出火する火事がありました。

モバイルバッテリーから出火

モバイルバッテリーから出火

 

午前8時半ごろ、大田区山王の2階建てアパートで火事があり、約1時間半後に消し止められました。

 

この火事で火元の部屋に住む女性が軽いけがをしました。

 

警視庁によりますと、女性はモバイルバッテリーから火が出たと話しているということです。

 

リチウムイオン電池の限界と、熱暴走がしにくい全個体電池とは

日本ではリチウムイオン電池による火災が年々増加しており、総務省消防庁の全国調査によると、2024年に消防機関が把握した発生件数は982件だった。

2022年は601件、2023年は739件と右肩上がりで増加、2025年上半期(1~6月)だけでも550件に上り、年間1,000件超のペースになっている。

製品別・地域別の内訳

モバイルバッテリーが最多で2024年290件(全体の約30%)衝撃や高温が主因だが、半数近く原因不明。その他上位は 電動工具、携帯電話(85件)、電動自転車など。

地域は東京が最多(247件)、大阪・埼玉が続いている。まあこの辺は人口に比例しているのだろう。

また、ごみ処理関連の火災(収集車84件、処理場96件)も加えると、実質被害はさらに大きい。

これらは通報ベースの公式統計で、軽微なものは含まれておらず、潜在件数はもっと多い可能性がある。

発火の主な原因

リチウムイオン電池は高エネルギー密度ゆえデリケートで、以下の要因で熱暴走(急激な発熱→発火)を起こしやすくなる。

経年劣化はかなり問題である。 充放電を繰り返すと内部の電解質が酸化しガスが発生。電池が膨張し、衝撃でショート→発火する。

衝撃や圧力でセパレーター(絶縁膜)が破れ内部短絡、つまりショートする。古い電池ほど脆くリスクが高くなる。

過充電や高温環境への保管も要注意! 非純正充電器や車内放置で過熱する。劣化電池はこれで暴走しやすくなる。

デバイス別のリスク傾向

 

デバイス リスク要因 発火可能性
モバイルバッテリー 粗悪品・劣化多発 高(ニュース最多)
スマホ・PC 長年使用で膨張 中~高(衝撃時急増)
電動自転車 大容量・衝撃受けやすい 高(転倒事故多)

古い電池ほどリスクが上がり、衝撃で確率が跳ね上がる。全体の火災件数は年々増加傾向だ。

さらに言えば、バッテリー火災は何もモバイルだけではない。

現在は様々なものが電池で動くように設計されている。

そのどれもこれもが爆発や発火するリスクを負っている。

消防庁調査から製品別出火件数の上位をまとめると以下の通り。

主な種類と割合(2024年・2025年上期ベース)

製品種類 2024年割合(目安) 2025年1-6月件数(目安) 主な原因
電動工具 約15-20%(100-200件) 45件 非純正バッテリー使用
携帯電話機(スマホ) 約7-10%(85件) 39件 外部衝撃・分解
コードレス掃除機 約5-10%(50-100件) 過充電・欠陥
電動アシスト自転車 約5%(50件前後) 衝撃・高温
ワイヤレスイヤホン 約2-3%(20-30件) 少数 充電ミス
その他(加熱式たばこ等) 残り 廃棄時短絡

ではこれらの熱暴走を防ぐ有効な手段はあるだろうか?

考えられる幾つかを下に示す。

ユーザーができる発火防止策

日常生活でリスクを大幅に減らす具体的な手立ては以下の通り。

正しい充電習慣を励行する。純正または認証充電器を使い、過充電を避ける(自動停止機能付きを選ぶ)。充電中は目を離さず、熱くなったら即中止する。

管理においては、高温(車内、直射日光下)や衝撃を避け、異常(膨張、異臭、発熱)が出たら使用中止・廃棄(テープ巻きして屋外保管)。

満充電/完全放電を避け、半分程度の残量で涼しい場所に。使用2〜3年で交換を目安に。

ふ~~む。2~3年で交換がミソだね。だってふつう壊れるまで使うだろうが、人情として。

で、わたしのようなケチは、メーカー側の対処を求める。何か手立ては講じているのか?

メーカー側の技術的対処

メーカーは電池設計段階で多重の安全機構を内蔵している。

保護回路(BMS)技術で過充電/過放電/過電流/短絡を検知し自動遮断。セルごとの電圧監視も標準化(経済産業省のPSE法改正で強化)当然これらでコストアップする。

高品質材料と構造の研究、デンドライト(針状結晶)防止の純度高い電解質、衝撃耐性セパレーター(絶縁膜)、堅牢ケースの採用。

試験・認証については、過充電試験、短絡試験、衝撃試験をクリアした製品のみ出荷。リン酸鉄リチウム電池など低リスクタイプの開発も進んでいる。

日本ではPSEマーク(電気用品安全法)が義務で、無印品の流通を規制。粗悪品が事故の主因だからだ。

メーカー別バッテリー発火の危険度は?

どのメーカーのリチウムイオン電池も、理論上は発火の危険性があるが、実際の事故はメーカーや品質によって大きく異なる。

リスクの高いケース

粗悪品・中華製無名メーカーは特に危険度が増す。 内部欠陥(異物混入、保護回路不備)が多く、Anker、cheero、Xiaomi、CIOなどの特定製品でリコール等もあり発火事例が相次いでいる。

非純正・模造品も危険度が高い。安全基準を満たさないものが大半で、事故の85%近くを占める。

比較的安全なメーカー

ELECOM、BUFFALO、MOTTERU(日本製)はかなり安全だ。 リコール歴がほぼなく、多重保護回路やリン酸鉄リチウム電池を採用。釘刺し試験クリアなど高安全性が確認されている。

大手(パナソニック、三洋、ソニー)は厳格な品質管理で事故報告は極めて少ない。

結論

ユーザーとしては「PSEマーク付きの信頼メーカー品ならリスクは0.001%未満に抑えられる」のでそれを推奨したい。

粗悪品を避ければ、日常使用で心配不要なレベルになる。

アパートなど集合住宅での火災延焼リスクは深刻な事態になるので、粗悪品は絶対に使わない対策強化は必要だ。

全個体電池の未来は明るいか?

さらに言えば全個体電地にすれば熱暴走は起きにくくなると言われている。(まだ実用化されていない)

研究によると、完全に起きないわけではないがかなり安全性は高い。

従来のリチウムイオン電池(液体電解質使用)と異なり、全固体電池は固体電解質を採用するため以下の利点がある。

液体漏れ・ガス発生なし、 電解質が固体で熱に強く、過熱時も液化せず連鎖反応が起きにくい。

高い熱安定性: 硫化物系電解質の場合、分解温度が400℃超と高く、熱暴走閾値が従来の200-300℃から大幅上昇。

安全性向上のための、釘刺し試験などで発火せず、「ほぼ熱暴走しない」とされる報告が多数である。

トヨタやパナソニックの実証では、従来比で熱暴走確率が1/100以下に抑制されている。

さらに良いことは、全固体電池はリチウムイオン電池に比べて電池寿命が大幅に長いとされている。

価格比較の現状と見通し

トヨタなどの試算では、2028年頃に1kWhあたり75ドル(約1万円)まで低下する目標が掲げられていますが、これは現在のリチウムイオン電池(1kWhあたり100ドル前後)とほぼ同等レベルで、量産化初期段階です。

高コスト要因は固体電解質材料の高価さ、製造工程の複雑さ(高温焼結が必要)。現行リチウムの主材料(液体電解質)は安価でスケール済み。

価格ダウン見込みは2030年以降に1kWhあたり50ドル台へ。ナトリウムイオン電池の方が先に20-30%安くなる可能性が高い。

 

電池種類 現在価格(1kWh) 2028年目標
リチウムイオン 約100ドル 80-90ドル
全固体電池 200-300ドル 75ドル?

※75ドル達成には中国勢の追随や技術ブレークスルーが必要ですが、過度な期待は禁物。まずはEV高級車向けから普及し、コストは徐々に下がる見込みです。

全固体電池の優位性

全固体電池の優位性は主に充放電サイクル数と劣化耐性に表れます。

項目 リチウムイオン電池 全固体電池
サイクル寿命 500〜2,000回 1,000〜3,000回以上(2〜3倍)
カレンダー寿命 5〜10年 10〜20年(電解質劣化が少ない)
劣化原因 液体電解質の分解・SEI膜成長 固体電解質で副反応1桁少ない

全固体電池は固体電解質により電極の安定性が高く、繰り返し充電でも容量低下が緩やかだ。

EV用途では航続距離劣化も少なく、トヨタなどは「20年使用可能」を目指している。

ただし実用化初期品は製造精度次第でばらつきが出る可能性がある。

残るリスク

ただし熱暴走が「絶対起きない」わけではなく、以下の条件で可能性はある。

極端な機械的損傷(粉砕)や内部短絡。

高出力EV用途で発熱量が増大した場合の設計ミス。

未成熟技術段階での製造欠陥。

実用化は2027-2030年予定で、後はBMS(電池管理システム)と併用でリスクを限りなくゼロに近づける。

いちばんの問題点は、価格がリチウムイオン電池の2~3倍と高いことだ。

しかしこれも普及すればするほどコストが下がる。実用化される日がすぐそこまで来ている。

 

今日の一句

誰がため河津桜の輝けり

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