南海トラフ巨大地震は2030年代に起こる。首都直下地震は、明日かもしれないし50年後かもしれない。地震の予測はどのようなメカニズムに基づいているのか?…京大名誉教授の「気になる答え」とは
3/14(土) 7:45配信 ダイヤモンド・オンライン
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東日本大震災によって日本列島は地震や火山噴火が頻発する「大地変動の時代」に入った。
その中で、地震や津波、噴火で死なずに生き延びるためには「地学」の知識が必要になる。
『大人のための地学の教室』は、京都大学名誉教授の著者が授業スタイルの語り口で、地学のエッセンスと生き延びるための知識を明快に伝えている。
西成活裕氏(東京大学教授)「迫りくる巨大地震から身を守るには、これは万人の必読の書、まさに知識は力なり。地学の知的興奮も同時に味わえる最高の一冊」と絶賛されている本書。今回、著者である鎌田浩毅氏へのインタビューが実現した。
本記事では、南海トラフ巨大地震、首都直下地震のメカニズムと時期の予測について聞いた。(取材・構成/小川晶子)<以下略>
「南海トラフ巨大地震は2030年代に必ず来る!」と言うより、「南海トラフ巨大地震は何時か必ず来る!」と言ったほうが良くね?
先日TV「正義のミカタ」を見てたら、京大名誉教授の鎌田氏が登場して「南海トラフ巨大地震は2030年代に必ず来る!」と自信たっぷりに言った。
そりゃ日本列島の下には、太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレート、北米プレートの4つのプレートが沈み込んでいるわけだから、これらのプレートが相互に作用して地震や火山活動は実際に起きている。
わたしがこの先生の言うことで一番気に入らないことは「2030年代に必ず来る!」という公言です。いくら地震のことでも、そんなあやふやなことを自信たっぷりに言われても困ります。
だって2030年代に必ず来るなんて、科学的に証明されてないんでしょ?
といっても、わたしは絶対来ないと言っているのではないです。来るけれどそれは明日かもしれないし100年後かもしれない、と言う立場です。
地震学会でも、現時点の主流的な公的評価は「高い確率で起こりうるが、いつかを特定はできない」という立場でしょ?
鎌田氏の「絶対来る」説の根拠は、おなじみのプレートテクトニクス理論の海洋プレートが年8〜10cm程度で沈み込み、限界まで歪んだあと跳ね返ることで巨大地震が繰り返し起きるという一般的なメカニズムが頭にあるからだ。
歴史的に地震発生の間隔が1707年宝永、1854年安政、1944・46年昭和南海など、過去の南海トラフ地震が概ね100〜150年周期で起きてきたという「サイクル」から判断していると言う事。
すでに前回から約80年経過したから、「2035年±5年」と“言い切る”形で防災意識を高めようとしているとみられる。いわゆる来る来る何とかだ。
しかしですよ。日本の公的評価(地震調査研究推進本部・気象庁など)は、もっと慎重な言い方をしているよね。
南海トラフ巨大地震の「今後30年以内の発生確率」は、これまで「80%程度」から計算方法の見直しで「60〜90%程度以上」とされちゃった。
わたしに言わせれば、60〜90%と30%もずれがあること自体もう何にも言ってくれるな!と言う感じですよ。
気象庁も、南海トラフ地震の発生メカニズムや過去の発生パターンは説明する一方で、具体的な「年度」や「10年刻み」での断定は避けて「いつ起きてもおかしくない」といった表現にとどめている。
これが正解じゃないでしょうかねえ。
巨大地震は数百年単位で見れば必ず来るのですけれど、今の科学力ではその時期なんて一つもつかめないのですね。いつだっていきなり「ドッカーン」ですよ。
こんどのイスラエルと米軍のイラン攻撃より想定しずらいのですよ。
では実際に南海トラフ大地震が発生したらどうなるか?これはえらいことになります。
まず経済被害やインフラ崩壊は政府想定でも甚大で、想定死者数最大約30万人、経済的被害約292兆円と試算されているのですね。
政府の被害想定概要
中央防災会議の最新想定(2025年公表)で、マグニチュード9クラス・冬深夜発生の最悪ケースが起こった場合の被害想定は以下の通りです。
| 項目 | 最悪ケース想定 |
|---|---|
| 死者数 | 最大29万8千人(津波21万5千人含む) |
| 全壊建物 | 約235万棟 |
| 経済被害 | 292兆円 |
| 影響範囲 | 東海〜九州中心、津波で関東〜九州13都県 |
インフラは道路3-4万カ所不通、鉄道2万カ所被害、断水・停電・ガス停止が広範囲(東海・近畿9割、四国9割など)。被害範囲は東京から宮崎まで。
東海地震連動で首都圏直下級の揺れがおこり、家屋の被害とインフラの破壊、また発生した津波により駿河湾〜相模湾が広い範囲で壊滅する。
さらに 静岡〜宮崎までが最大震度7・大津波(最大34m)、同じくインフラは壊滅する。
宮崎方面は九州東部で津波により海岸都市は崩壊する。これらにより、東京から宮崎間瀬の都市の9割が断水するだろう。そして被災地のインフラは長期寸断する。
また鎌田氏は南海トラフ(特に東海部分)が富士山噴火を誘発すると指摘している。1707年宝永地震後49日で大噴火した過去の歴史から、2030年代連動リスクを警告している。
例えば宝永噴火程度の噴火が起きた場合、内閣府や東京都の被害想定では首都圏を中心に火山灰被害が深刻化し、経済損失1.2〜2.5兆円規模となる。
直接的な被害地域は静岡、山梨県が中心で噴石は火口4km内。死傷者は約1万3600人(噴石直撃や屋根崩落が主因)。 木造家屋全壊280〜700棟、降灰50cmで半数倒壊する(重みで)。
富士山が噴火した時の被害予測
| 降灰と噴石など | 影響範囲例(宝永規模) | 主な被害 |
|---|---|---|
| 50cm+ | 富士山麓(静岡山梨) | 木造家屋倒壊、停電・断水 |
| 30-50cm | 神奈川西部・埼玉北部 | 交通不能、農業壊滅(700ha森林・18万ha水田) |
| 10-30cm | 東京23区・千葉・茨城 | 降灰で航空・鉄道停止、首都機能麻痺 |
| 2-10cm | 関東平野全域 | 道路通行不能(3700〜1.4万km)、通信障害 |
さらに火山灰1cmで航空機運航不能、10cmで自動車のキャブが壊れたり、スリップが多発して走れなくなる。
インフラ、経済被は、鉄道3割以上が埋没、新幹線・首都高長期不通、水道・電力9割停止(灰詰まり)、通信網ダウンする。
経済的ダメージは、農業被害最大64,000ha畑作、総額2.5兆円(2004年試算、現代価値で倍増している)
もし南海トラフ巨大地震と富士山噴火(宝永規模)が連動した場合、公式の具体的な「複合被害想定」は存在しないが、復興は東日本大震災の10年以上を大幅に超える長期化が予想される。
そしてその復興予算は軽く350兆を超えるかもしれない。そうなれば日本は経済的は完全に沈没する。日本沈没だ。
このようなことを想像すると、まあ、鎌田先生の心配も分かるが、もうこうなったらやりようなど全くないではないか!つうことで。
もっとも鎌田先生の真意は、一定の科学的根拠らしきものを踏まえつつ、専門家らしき者の立場で、リスクコミュニケーションのための“啓蒙”みたいなものなんだろね。そしてこれを言うことによって飯が食える。
この先生「防災庁をつくれ、防災庁が必要だ」としきりに言ってたもの。だけどそんなものこさえたって、ポストが増えて役人が喜ぶだけだと一蹴されてましたけどね。
たぶんこの先生は心配性なんですよ。その心配を紛らすためにあのド派手なファッションをしているのかも知れませんねえ。それともただ目立ちたいだけなんだろか?
さてでは、わたしたちはいつ来るかわからない巨大地震に対して、どのように対処してゆけばよいのでしょうか?
それは東大名誉教授のロバート・ゲラー先生の南海トラフ見解に従うのが最善でしょう。
ロバート・ゲラー東大名誉教授は、鎌田浩毅氏の「2030年代に必ず来る!」という断定的予測とは対照的に、南海トラフ地震の具体的な時期・場所・規模の予知・予測は科学的には不可能と一貫して主張している。
つまり、地震予知は現在の処不可能ということ。何年後に来るとか言う学者に対して、1991年のNatureの論文以来、「地震予知は成功例がなく、科学的根拠がない」と一蹴している。
短期予知どころか長期確率論的予測も「統計的に優位性なし」と断言しているのですね。
そして政府がだした確率(70-80%)は「神話」レベルで「30年以内に80%」などの数字は時間予測モデル(過去周期から次を推定)が誤りで、水増しされたものと指摘する。
東日本大震災前は「東北は安全、南海が危ない」と言われていたのに逆転した例を挙げ、確率論自体が信用できないとしている。実際にそうなったんだから認めるしかない。
さらに周期説も否定している。 鎌田氏のような「100-150年周期で2030年代」という考えを明確に否定する。その理由は、プレート沈み込みのエネルギー蓄積が単純な時計のようには働いていないためだという。
ただし、「地震が起きないとは言っていない」点が重要です。
南海トラフ含め日本各地で「いつか必ず起きる」リスクは認め、「明日かもしれないし100年後かもしれない。だから日常的な備えだけを徹底せよ」と強調しています。
鎌田氏とロバート・ゲラー氏の決定的な違い
| 項目 | 鎌田浩毅氏 (京大名誉) | ロバート・ゲラー氏 (東大名誉) |
|---|---|---|
| 時期予測 | 2035年±5年「必ず来る」 | 予知・予測不可能「神話」 |
| 根拠 | 歴史周期・プレート歪み蓄積 | 周期説否定、統計無意味 |
| 目的 | 防災意識向上の強い警告f | 予知依存の政策批判、常時備え |
| 被害認識 | 東日15倍・29万人死亡 | リスクあるが「想定外」茶番批判 |
ロバート・ゲラー先生の最近の発言傾向(2024-2025年頃)
- 2025年YouTube対談で「南海トラフ80%は研究費のための水増し」「ハザードマップはハズレマップ」と辛辣に非難している。
- 2024年宮崎沖M6地震後、「プレートテクトニクス自体を疑う声もあるが、巨大地震リスクは変わらず備えを」と冷静な見方をしている。
- ラジオ等で「予知研究に巨費浪費せず、家具固定・避難訓練に集中せよ」と実践論を展開している。
わたしも地震は必ず起きると思っている。それは明日かもわからないし、100年後かもしれない。ロバート・ゲラー先生に100%同意します。
わたしは東海地震予想の真っただ中に暮らしているが、街の防災マップくらいは確認しとこ。で、ぼろ家屋に、DIYで筋交いでも入れて、家具は固定することくらいしかないですねえ。そうそう、簡易トイレ、ヘルメット、運動靴など非常時グッズ、水や食料は言うまでもありません。
最後にロバート・ゲラー先生の名言をおひとつ
「”予知連”は1969年4月に設立され、その後の47年間に1度も予知に成功したことはない。阪神淡路、新潟中越、東日本、熊本、能登・・・。しかも、全ては見逃し三振。空振り三振はない。」
今日の二句

杏子満開満開ほどの温さかな
杞憂より備え忘るな鐘霞む
