裁判員

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裁判員制度が発足し、巷ではそのニュースで持ちきりですが

「みなさん、もし、その裁判員に選ばれちゃったらどうします?」

朝から喫茶店の暇人モーニング連の面々。

「死刑にもなるという重悪事件を裁くってんでしょ、ワシは、そういうのいや!断固拒否」出されたゆで卵をムキムキしながらKさんが言えば

「だけど昨今は、TV、新聞で死には死を!って、被害者が血相かえてますがな。だいたいが日本は忠臣蔵、敵討ちの国でっせ!決まりですこれで」時代劇大好き人間のY爺。判決は断固死刑!

そこへグループの長老、人望厚き敬虔なクリスチャンのI氏が、コーヒーを一口グビリとやりながらおもむろに口を開く。

「昔の話ですがな、だいぶ昔、イエスさんの時代じゃ、泣き叫けぶ哀れなおんなに、石打の刑を続ける群衆に『今まで一度も罪を犯したことがない者が石を投げなさい』と申したそうな。そしたらだれもおらなんだ」

ゆで卵の皮をむきながら講釈はつづく

「つまり、人間とは誰しも罪深い、その罪深い人間が他人を裁く、これが問題じゃわいなぁ」

これには誰も応えられぬが、無宗教者のあっけらかんのPさん

「じゃ、誰がこの極悪人を裁けばいいんです!?」と少々ムキになる。

「もう、決まってるんです。この男の行き先は、表向きはどうあれ、自分の良心が一生裁き続けるんです。死んだってだめです。あの世に閻魔さんがいるって云いますが、閻魔さんのホントの姿は自分の良心です。これはきついですよ~、情状酌量はありませんから」実家がお寺さんのH氏。

「だけど、そんなこと裁判員になったら言えませんがな」とワタシ。

「それに、ワタシ、ホントは口が軽いでっしゃろ?大きな声では言えませんが、守れません。絶対に秘密なんか、あんただけでっせ、なんて云って回らなきゃ病気になってまう」

爺連大笑いであるが、頷く輩もいて、どうも軽口はワタシだけではないようです。

どうも崇高なお話が、ワタシのせいで、どっちらけになってお開きです。

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