ワタシの部屋のテレビはブラウン管である。
今やビンボ人の象徴のような代物だが、今も現役で、老い先短いアナログを楽しんでいる。
全面の手動スイッチのカバーなどとうにどこかに吹っ飛んでむきだしで、化粧が落ちた家人のごとくある。
しかし、こいつは奇跡のテレビなのである。
だいぶ前になるが、ワタシが阻喪をし、40センチほどの台から落下させた。
ヤツはでんぐりかえって落下し、
しこたま全面をフローリングで打ちつけて「ビシッ!」とガラスの割れるような音がして、
さすがの無神経のワタシも「嗚呼、一巻の終わりか!?」と観念した。
ところが・・・
割れたはずのガラスは何ともない。
平気な顔をしてつやつやしているではありませんか♪
設置し直して、おそるおそる電源を入れると、
左半分ほどが紫色に腫れ上がって、ゆがんだ画面が揺れているのをみると
強烈なダメージで、さすがにご臨終か?と思われた。
「根性無しめ!」ワタシは自分の不注意を棚に上げてののしるのであった。
ビンボ人には金がない。TVはこいつしかないのである。
ちらちら紫おぼろ画面でも、独り寝の寂しさは補える。
ここがワタシのすごいところである。
昭和生まれは我慢強いのです。眼を細めてみれば何とか分かる。
紫おぼろ画面で我慢すること1週間。
あれや不思議?紫がだんだん薄れて行くではありませんか!
しかもしっかりした画面に復活です!
ワタシはイエス様の復活を信じます!
てな訳で、こんな健気なテレビをいくらデジタル時代だからと言って、とても買い替え気にはなれません。
昭和生まれの行動はケチツ!とかゴウツク!とか云う低次元のお話ではないのです。
情けはお金より尊いのです。
だから今夜も、シャープブラウン管テレビ28インチワイドが
ワタシの部屋の隅で、でっかいおしりで着座ましましています。
そうだ!ワタシは今夜から、こいつを肝っ玉母さんと呼ぼう。
ワタシの懐を心配して復活した慈悲深き母です。
肝っ玉母さんは今夜も、政府と放送局の陰謀で、黒縁で小さくなった画面に
「アナログ放送終了後、地デジへの工事は時間がかかる恐れ・・・」
なんてご親切なお節介を映しだして
つい、字幕と勘違いさせて真剣に読んでしまうのですが、これは肝っ玉母さんのせいでは決してありません。
だから、来年7月になったら、破棄なんて切ないことは考えたくありません。
チューナーでも買って、これからもズ~ッと共に生きような。
こいつが先か?
ワタシが先か?
さてさて、どちらが先にあの世に逝くのでしょうか?
それは神のみが知ることであります。