長沢節センセの入れてくれたコーヒー

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ワタシは昔コーヒー党であった。

若い頃通っていたセツモードセミナーのコーヒーがとても旨かった。

校長であるセツ氏はワタシ達に絵を教えながら、コーヒーを入れてくれた。

休み時間にはいつもコーヒーをいただくのが日課になった。

しかも、貧乏学生にはありがたい一杯たったの50円である。

セミナーを卒業してからそのコーヒーに匹敵する味に出会ったのは、羽田の東急ホテルの当時700円のコーヒーだけである。

だから自然、ワタシは紅茶党になってしまった。

紅茶なら、幾らまずくても喉にひっ掛かることは先ずないもの。

なにしろ絵を志す者はおしなべて貧乏なのである。

コーヒが幾ら好きでも毎日羽田まで通うわけには行かないじゃないか!

普通のサラリーマンに成り下がり、絵はいつのまにか描かなくなってしまったが、その当時の道具はまだ押し入れにしまわれている。

それを見るたびに、セツ氏のコーヒーを思い出すのである。

この間セツ氏が1999年の6月に、自転車転倒事故で亡くなっていたことをネットで知ったがとても寂しい。

ただただご冥福を祈るばかりである。

氏の描く、脚より細いズボンをはく青年のデッサンや、ワタシ達の座るベンチに割り込み、おもしろおかしくお話をしてくれたのがとても懐かしい。

今日は、朝からそぼ降る雨でやたら薄ら寒い。

こんな日は、家人の不味いコーヒーでも盗み飲んで氏を偲ぼうか。

アトリエのテラスのポプラの下で、セツセンセの入れてくれた旨いコーヒーをいただいたあの日を偲んで・・・

セツモードセミナー

セツセンセが亡くなり「セツ・モードセミナー」は2017年春に閉校となった。

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