聖夜の思い出

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冷蔵庫を覗いたらケーキの箱がある。

ん?ケーキ?この不景気にケーキか…

景気ええなぁ。

ダジャレはさておき、そうか!

あしたはイヴか…

いぶ、イブ、イヴと云えば、わたしにも思い出の一つや二つはある。

その一つを思い出してしまった。

むかし昔のことだ。

いまからうん十年も昔のことだ。

ワタシがまだ美青年だった頃。彼女の影も形もなかった頃。

世間のクリスマス気分にほだされて、ムサイ男3人のイヴ。

もっとも、クリスマスなんてどうでいいんです。

ただ飲みたいだけだから…

なにかにかこつけて、ひたすら飲む無節操の時代。

運悪くわたしの部屋が安酒場になって、出前のお寿司とつまみを摘まんで、ビールとお酒のがぶ飲み。

飲めないワタシはコーラでタップンタップン。

深夜までの馬鹿騒ぎ。

同僚共はへべれけ。もういただけません。

それでも正気が残っていたワタシは、布団を敷いて眠りましたのさ。

夢うつつ。夢は行楽温泉旅行。

季節はほんわか春麗ら。

桜花散る露天風呂。

温泉に浸かりながらの打たせ湯も心地良いですなぁ。

竹筒から流れ落ちるお湯音もまた楽し…ドボドボと。

ん?… ん?…

なんだか足元の方に打たせ湯が…

足が生温かい。

このドボドボ、ジョボジョボが気になりますですよ。

異変を察知して、ふと起き上がって見渡すと、あやや大変!

へべれけ同僚の一人が、立ち上がってワタシの足に打たせ湯。

パンツから細~い竹筒引っ張りだして、わたしの足元へ、放水真っ最中!

ひぇ~~~ぃっ!wwww…

木綿のシーツを裂くような野太い悲鳴!

寮中に轟く深夜の悲鳴!

もうわたしのお布団はびっしょびしょ!

もう一人の酔っぱらいは、大口空いて鼻ちょうちん。

まったく正体がありません。

打たせ湯酔っぱらいは、長~~い放水が終わると、たっぷり温泉が滴ったお布団に潜り込んで…

こちらも正体なく眠りこける

「もう知らない…」

酔っぱらいは嫌ですなぁ。

いくら自分のオシッコとはいえ、そこに潜り込みますか?

ション便虫かこいつは、危険極まりない生物だ!

‥‥‥

翌朝、酔いが覚めた同僚を罵りました!わたし

「ど、どうしてくれるねん!このお布団!就職の時、お母んが内職してこさえてくれたお布団だよ!」

「‥‥‥」

「あ、あたらしいの買うてくれるんか?」

「‥‥‥」

お互いお金なんて幾らも持ち合わせてないビンボ寮生です。

同僚は静々と己のお布団を差し出すのでした。

鼻ちょうちんは大笑いしながら迎え酒。

グビリと喉を鳴らしながら

「ふふふ、顔の方でなくてよかったなぁ…」だと。

「バカヤロ!…」

わたしの聖夜の滴るようなクサイ思い出です。

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