鈴虫がチリチリとすり切れて細々鳴いている。
覗いてみると、20匹以上いた仲間はすでに死に絶えて
哀れ、たった一匹である。
いくら鳴いても求めるメスはやってこない。
やってこないのを知ってか知らずか?
力なき羽根をふるわすを見ていれば泣きたい。
死に後れた男の哀れが迫りくる。
静寂なる飼育箱のなかにときおりチリチリと
明日は我が身かもと首をすくめて
いくら鬼嫁でも、せめて、せめて、ワタシより一秒でもいいから長生きを
生と死のはざまで、わたしの明日はどっちだ?
などと考えても詮無し
生き残った鈴虫に、我を重ねて、静かに飼育箱のふたを閉める。